司法書士が扱える債務整理は「個別債権価額140万円以下」に決着!

一般に債務整理をお願いする場合、古い人は弁護士に頼むことが多いようですし、アディーレなどの弁護士法人も誕生したことで、一般市民も借金相談を弁護士に依頼するケースが確実に増えました。ちなみに、この変化はわずか10数年前のことです。

それと同時に、2002年には司法書士法が改正され、法務省が認めた認定司法書士は債務額が140万円以下の訴訟・和解が認められるようになりました。ご存知の通り、以来、司法書士の活躍の場は拡充し、司法書士の仕事は債務整理がほとんどではないかと思っている方も多いはずです。

ただし、この認定司法書士の制度は、2000年当時に多重債務者問題をより効率的に解決するべく創設された制度で、弁護士の仕事を横取りするような制度ではもちろんありません。

しかし、日司連と日弁連で、改正された司法書士法の解釈が異なっていたことが、長い間の問題となっていたようで、その決着が最高裁の判断でつきました(2016年6月27日、最高裁第1小法廷)。

140万円は依頼者が受ける利益か個別の債権の価額か

これまでの争点は、「弁済計画の変更などで依頼者が受ける利益が140万円以下であれば受任できる」との解釈で、実際に債務整理を行ってきた日司連に対し、日弁連は「債権額が140万円以下に限られる」と主張。

最高裁判決は、「債務整理を依頼された認定司法書士は、債務整理の対象となる個別の債権の価額が140万円を超える場合には、その債権に係る裁判外の和解について代理することができない」と結論づけました。つまり「依頼者が受ける利益が140万円以下であれば受任できる」とする日司連側の主張を退けたかたちです。

ただ、最高裁は140万円という金額を個別の債権の価額にも認めております。つまり、認定司法書士が扱える事案は、債務総額140万円までとはしていません。ウェブサイトによっては、債務総額140万円までを、認定司法書士が扱える事案ではと記しているものも見かけられ、記事を書く立場としても正直揺れ動く問題でした(ここまで明確な結論が出たことに、ほっとしています)。

個別の債権の価額が140万円以下ということは、認定司法書士側も簡易裁判所で扱えるほぼすべての事案を代理できます。この判決を機に、認定司法書士にも、これまで以上の仕事に期待したいところですね。