特定調停という任意整理が以前より使われなくなったワケ

特定調停と言われる債務整理があります。この債務整理は借金がまだグレーゾーン金利の時代によく使われていました。ところが、貸金業者の貸出金利が皆利息制限法の範囲内に収まったことで、特定調停が使えるケースが少なくなってきたのです。

では、特定調停が完全になくなってしまったのかというと、これも違います。ただ、利用する圧倒的に減ったことは間違いありません。そもそも、特定調停と言うのは、どのような債務整理なのでしょうか。

せめて任意整理ぐらいまでの減額が可能なら…

特定調停とは、民事再生(個人再生)や自己破産と同じで裁判所を通して債務整理ですが、特定調停の場合は簡易裁判所を使いますので、地方裁判所を使う民事再生や自己破産とは違った踏み込みやすさがあります(特定調停は民事調停手続きの一種)。

また、民事調停は弁護士などに依頼しなくても進めていける制度になっており費用も印紙代と郵送に使う切手だけで済んでしまいます。

最近ではアディ−レなどの弁護士事務所を建てるケースもありますが、これは特定調停とほかの債務整理を同時に依頼するケースが多いようです。ただむかしのように、特定調停一本で債務整理する場合は、たとえばアディ−レなどの弁護士事務所を使わず申立てできますので、コストは数千円(4、5社あっても2,000円〜3,000円)で済んでしまいます。非常にリーズナブルに借金を整理できます。

またほかの裁判所系の債務整理とは違って、整理したい貸金業者を任意で選べます。ですから、保証人をつけてる債権は敢えて整理せず進めるのです。

弁護士を使わないでもできる特定調停ですが、申立てが裁判所に受理されると、弁護士の受任通知と同じように受理証明書が債権者あてに郵送されます。つまり、正確に申立書が書けてしまうと、早期に借金返済の重荷から一時的にでも解放されます。

しかし、特定調停は借金の減額がグレーゾーン金利の金利引き直しによる減額しか扱っていないため、裁判所の申立書を提出する時点で断られることもあります。その意味では、任意整理も似ているところがありますが、せめて任意整理ぐらいまでの減額が可能なら、この制度を利用してみようという人はもう少し増えるのではないでしょうか。