よく聞く「任意売却」って債務整理のことなの?

みなさんのなかでも任意売却という言葉を聞いたことがある方はいるのではないでしょうか。

任意整理と間違えて使ってしまいそうな任意売却ですが、これも一種の債務整理といえるもので、住宅ローンの返済が厳しくなった人たちがよく利用しています。「じゃあアディ−レでも任意売却を扱っているの?」といった質問をよく聞きますが、残念ながらアディ−レでは任意売却を扱っていません。

任意売却は、アディ−レなどの弁護士事務所などではなく、一般の不動産会社が行なっているのです。なぜ、債務整理なのに不動産会社が関係するのかというと、任意売却とは、住宅ローンの返済が苦しくなった方が、自宅の売却を不動産会社に依頼するわけです。つまり、不動産を売買するので仲介者として、不動産会社が間に入るわけです。

不動産の売買には弁護士資格だけでは関われません。そこで、土地建物取引士の資格がある不動産業者が任意売却の手続きに関わっているのです。

任意売却と競売との違いは?

不動産を売却する任意売却は、よく競売とも比較されます。この2つの違いはどういうものになるのでしょう。

二つの違いは、まず売却の主体が、任意売却の場合は不動産業者であり、競売の場合は裁判所という点です。ここが大きく違ってきます。

任意売却は売却資金をローン残債や諸経費に充当しますので、競売価格といわれるように格安では売却できません。なので、売り方も普通の不動産売却と同じように、できるだけ市場流通価格に近い価格を設定し、任意売却物件とは謳わず売りに出します

競売は、設定価格より現金化することが目的です。そのため、通常の売買では出ないようないわゆる競売価格が設定されます。また、競売(オークション)に挙がった物件は、金額を高く設定してもまだ下がると判断されます。おのずと価格は低く設定せざるを得なくなるのです。

ただ、任意売却しようとしても売却計画どおりに上手く売り切れるとは限りません。また、任意売却とは通常の債務整理ではありませんから、住宅ローンのほかに大きな負債を抱えていると、任売後の生活債権に大きく影響します。ですから、不動産業者も、当該案件が任意売却する意味があるかどうかも慎重に判断しなければならないでしょう。

 

任意整理で債務整理したあと住宅ローンは使えるか?

任意整理は、自己破産や個人再生とは違い、クレジットを利用できなくなる期間が5年と短いうえ、裁判所を通さなくても債務整理ができることで、いまも一定の人気がある(とくに返済能力がある方、都市部にお住いの上場企業に勤務されている方には、いまも利用者が多い)債務整理です。また、残債の返済期間を一括返済するなどして予定より早く返せる方もいらっしゃるようですが、そうした方のなかには、任意整理の5年の喪の期間のあと、住宅ローンを借りたいという希望者もたくさんいます。

任意整理後の住宅ローンの審査ですが、それは決して無理なことではありません。ただし、少なくとも5年間は大人しくしておいた方が良いでしょう。

残元本を完済しても2年は喪に服す期間を持ちましょう

アディ−レのような任意整理の実績が多いところではたまにあるのですが、5年を待たずともローン審査が通ることもあるようです。ただし、最低条件があって、残元本の完済がすでに済んでおり、ある程度の期間が経過していることです。たとえば3年で返済が済むところを2年で完済し、さらに2年寝かせていれば、5年より1年短く4年です。こういう方がみんな審査が通るほど、住宅ローンの審査は甘くないですが、なかには通る方もいます。おそらく属性が良かったのだと思います。ですから、任意整理後も住宅ローン審査は通るというのは事実なのです。

ただ、5年は待たなくてはいけません。大体、任意整理の返済期間は長くても3年というものが多いので、3年掛けて完済して2年は大人しくしていれば、債務整理の足枷は、一般的には外れるのではないでしょうか

ただ、属性も大事で、最低でも審査が通るまで、余計なクレジットは組まないことです。また勤務先がしっかりした安定企業のほうが、当然ですが通りやすいです。

ただし、住宅ローンが通らなくても卑下することはありません。長期に積み立てていれば、将来的には自分の城を築けるときがやって来るからです。なにもローンが通ってすぐ住めなくても、別に良いではないですか...

債務整理資金を低利で貸してくれるローンがろうきん(労金)にある

任意整理は、グレーゾーン金利の融資残高が少なくなってきたところで、以前ほどの利用メリットが減っているの現状で、おそらくアディ−レでも同様の現象が起きているのではないでしょうか。ただし、ろうきんが利用できる環境にある方に関しては、まだ任意整理の減額メリットが生かせます。

グレーゾーン金利の時代は、高い金利でお金を借りていたため、債務整理をすると過払い分が効いて元本の減額効果が高かったのです。しかし、グレーゾーン金利で融資することが法律でも違法行為となったことで、全ての貸金業者が法に適った金利を使っています。そのため、変な話ですが、いざ債務整理しようとしても、以前のような金利の引き直しによる元本の減額効果が出なくなっているのです。

ただ各地域のろうきん(労金)では、債務整理資金として利用できるローンを用意している場合がありますので、利用できる方は当たってみる価値はあるでしょう。

ろうきん(労金)の債務整理資金ローンとは

では早速、仕組みについて説明します。任意整理は債権者との和解案によって、通常3年など、限度を区切って残債の返済を進めていきますが、この分割返済を一括で納めるように交渉できた場合、2割ほど減額できる場合があるのです。ただ、その返済資金をどこから調達するかですが、それがろうきん(労金)のローンと言うことです。

ただ、ろうきんは各地域によって分かれており、債務整理資金ローンを扱っていないところもあるのです。ですから、この方法が使えるのは、債務整理資金ローンを扱っているろうきんのあるところに限定されます。

また、ろうきんの組合員は公務員やNTTなどが多く、組合員がいる勤務先は退職金もかならず出るところというのが一般的な見方です。勤め先がはじめから組合に入っていなくてもろうきんを利用できますが、勤め先の規模や安定性によっては、審査が厳しくなる場合があります。その点で、普通の銀行とは毛色の違いを感じる場合もあるのは否めないでしょう。

ろうきん(労金)の債務整理資金ローンは保証料を含んでも金利は6%〜7%ほどなので、任意整理の残債の一括返済に使っても10%ぐらいのメリットが出ます。すでに職場で組合員になっている場合は、審査基準も緩くなりますので圧倒的にローンを利用しやすくなります。任意整理を効果的に進めたいと考えている方、交渉上、残一括返済ができそうな場合は、検討してみる価値は高い方法だと思います。

アディーレでもやっている任意整理の積立金制度とは

ピーク時よりは落ち着きましたが、アディーレを含めた弁護士・司法書士事務所の債務整理の方法で多いのはやはり任意整理です。ただ、任意整理は今とむかしでは違い、ピークのころはグレーゾーン金利の借金が多かったため、処理後の残債務や弁護士費用は過払い金の戻り分で多くはなくなっていました。

ところが、最近の任意整理では、過払い金がそれほど発生しないため、処理後の残債の返還や弁護士費用の負担が重くのしかかってきます。そのため、最近では、任意整理をしても返済計画どうりに返せない方が増えており、昨日の記事のように自己破産になる人も増えています。これを解消するために、任意整理では積立金を求めるところが増えています。

任意整理の積立金制度とは

任意整理を弁護士・司法書士に頼むと、受任通知が貸金業者に行き渡り、これまで苦労して返済資金をかき集めていた方も、一時的に(交渉が終了するまで)借金を返さなくても良い期間になります。この期間を使って積立金を貯めるのが任意整理の積立金制度です。

積立先は、任意整理を依頼した弁護士事務所や司法書士事務所の管理口座です。そして積み立てた資金は、弁護士報酬の支払に充当されます。これは、弁護士費用を集金するためにも有用なのですが、過払い金返還がほとんど見込めなくなったいま、借金返済から解放される時期から堅実に積み立てることは、良い習慣を作る上でも必要なこととも言えます。

積立金制度を求めていないところもありますが、申し出れば積み立ててくれるところもあるので、事務所に依頼する際に確認しておくと良いでしょう。

ただし、依頼者によっては、すでに借金の返済資金を新たに借りることで回していた方も多いはずで、そのような方は積立できない方もいます。つまり、こうした状況にある方は、別の債務整理を検討しなければなりません。その見きわめのためにも、任意整理の積立金制度は有効な手段になると思われます。

もし状況が変わって任意整理の元本返済が困難になったらどうする?

任意整理はアディ−レででも実績が多い債務整理のひとつですが、アディ−レに限らず多くの弁護士事務所や司法書士事務所でも、実績が多く知らされています。

ところで、任意整理は裁判所を通さず行なえる唯一の債務整理ですが、債権者との合意を得て残債務を計画どおりに返済していたのですが、仕事を変わらざるを得なくなり、任意整理の計画どおり返済ができなくなることも多いのだと聞きます。

この場合、同じ貸金業者で新たに任意整理をできるでしょうか。

貸金業者が2度にわたって任意整理を受け入れることはない

任意整理には、新たに返済計画を組むことに関して法律上の規定はありません。ですから、理論上は何度でも返済計画を組み直しは可能です。ただし、実際は貸金業者やクレジットカード会社が同意するかは甚だ疑問です。

そもそも任意整理は、金利の引き直しが行われるようなグレーゾーン金利の頃でもなければ、元本までは削ってくれません。つまり利息をカットしてもらったり遅延損害金を免除してもらったりするぐらいで、元本まで削減することはほぼあり得ないのです(残債を一括で返せる場合、元本の減額交渉が可能なケースもあるが)。

ですから、2回目の見直しが効いたとしても返済期間を引き延ばすことしか対応してもらえないと思います。ただ、返済期間を引き延ばせる業者が何社あるかです。

また弁護士事務所でも、2回目の任意整理に応じてくれるかです。ほとんどの場合は自己破産を選択してくるのではないでしょうか。無駄遣いなどしていなければ、比較的簡単に免責を貰えるものと思います。あと問題は、第三者を連帯保証人にしていないことです。その辺りの問題がクリアになっていれば、おそらくアディーレなどでも自己破産に切り替えるようすすめてくると思います。

もう一度まとめますと、理由が余程のイレギュラーでもなければ、貸金業者やクレジットカード会社が、2度にわたって任意整理を受け入れることはありません。これ以上、状況が悪くなってしまう前に、専門家に相談して自己破産に踏み切ることをおすすめします。

自己破産で名義変更や資産隠しがなぜバレるのか

昨日は債務整理における名義変更や資産隠しについて書きましたが、今日はこの問題のまとめとして、名義変更や資産隠しがなぜバレるのかについて書いてみたいと思います。単刀直入に言ってしまうと、いちばんは、裁判所の判断が厳しくなっていることがあげられます。したがって、アディ−レなどの担当弁護士も非常に慎重に対応しています。

自己破産を申立てれば誰でも支払不能状態と判断されれるわけではなく、その判断は、今まで以上に難しくなっています。さらに、破産者の資産も今まで以上に細かく見るようになっています。それは、資産を少しでも隠そうとする者が増えて、正常な破産や民事再生ができなくなると判断したのだと思います。

裁判所が間に入ると、貸金業者も厳しく(事細かに)精査されますが、これは破産を申立てた方も厳しく精査されると言うことです。

ほとんどの資産はいま隠せなくなっている。

では、どう細かくなったのか。以前の記事にも書いていますが、自己破産の場合は、自筆の財産目録を書面にて提出します。

ここには、価額が20万円以上のものを記載しますが、車、現預金、積立金、退職金、保険契約、貴金属、相続財産、貸付金、などが含まれます。書かなくても良いものがありますので、わからない場合はアディ−レなどの弁護士に一応確認してもらうと間違いがありません。

それと、過去2年分の通帳の写し全てや課税証明書、過去2ヶ月分の給与明細の写しも提出しなければなりません。財産目録と通帳の記帳を全て見れば、払われている税金も掴めますので、資産を移し替えたこともほとんど書類だけでわかります。ですから、資産隠しなどはほとんどできないと言うことです。

ちゃんと裁判所に資産としてあげていれば、たとえば査定額が20万円以下の車なら自由財産の拡張が適用となって、残しておいて良いとされる場合もあります。ただし、それすら隠していたりすると、自由財産の拡張が適用とならない場合も出てきます。

自己破産をすると、マンションや持ち家の方は住む場所を確保しなければならず大変ですが、借家の方の場合は、住むところも変わらず自分から口外しなければ自己破産したこともわかりません。破産したからと言って、生活備品まで持って行くことはありません。それより、自己破産する場合は、資産・財産をはっきりさせることが先決です。

アディーレも債務整理で注意している名義変更・資産隠しとは?


前回、前々回とカード現金化を続けていると債務整理ができなくなると言うことをお話しましたが、これを厳密に言えば、自己破産の免責不許可事由にも当たることが分かっています。

近年では、一般の人も自己破産の知識があるため、アディーレなどの法律事務所も、自己破産の事前チェックとして(またそれ以外の債務整理案件に取り掛かる際にも)、これらの行為を厳しくチェックしています。

カード現金化以外にも、自分名義の不動産などの資産を親族の名義に変更するような行為も、免責不許可行為のひとつですが、名義変更を故意にする場合と故意とは断定できない場合もあり、判断に窮します。

資産隠しはかならず見つかると思ったほうが良い

ただ、10年前では、状況を鑑みて許されていた行為も許されなくなっていることは事実です。たしかに、10年以上も前なら、裏技としてそのような名義変更も許された時代もありましたが、貸金業者も金利的に違法行為を犯さなくなったいま、資産を名義変更する行為については、以前に比べて非常に厳しくなりました。この傾向は今後も強化されてくるものと思われます。

資産については、過去2年分にわたって課税証明書などをチェックされます。したがって免責申立て以前のお金のやり取りもすべて明らかにされます。たとえば、同時廃止事件に切り替えるため、相当以前から、資産や財産を移していたとしても、ほとんどの場合はバレてしまいます。よって、免責不許可は避けられたとしても、資産を移す前の管財事件となることは明らかです。

なお、免責が確定してから資産隠しが発覚した場合は、免責不許可となるだけでは留まらず、詐欺破産罪に問われ、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科せられます(破産法265条)。

もちろん、アディーレなどでも十分注意しますが、たとえ隠し通せると思っても、計画的に資産を移し替える行為は、絶対にやってはいけません。